計画地は善光寺街道から西に入った西町の通り沿い。
このあたりは、江戸時代は下級武士の屋敷が建ち並び、
人々の生活が既に形成されておりました。
現在も閑静な住宅地で落ち着いた街並みになっております。
しかしながら、それぞれの区画がそれほど広くはないため、
道路と生活空間の関係性には配慮が必要です。
55坪の敷地で道路からの距離や近隣宅との関係性など、
それぞれのプライバシーを考慮しながらも、開放感を持たせる工夫を施しています。
周囲の住宅は色も形態も落ち着いた雰囲気の家が多く、
この地に新たに建てる住宅も鮮やかなものや奇抜な形状ではなく、
強く主張はしない建物、以前から建っていたかのように感じる、
周囲になじむ建物が良いと思いました。
左官の外壁は色調を抑えて、木製のルーバーや板張りの外壁など
工業製品にはない優しい風合いで構成してます。
内部も奇をてらう事はせず、日常をより長く快適に心地よく暮らせることを
建て主と時間をかけて話し合い、家族それぞれの居場所とその関係性、
そして日々の生活を共にイメージしながら、空間構成を作り上げていきました。
植栽や流れ込む風など、季節の移ろいが感じられる窓は、
前面の道路からのプライバシーの確保と開放性のバランスをとり、
外構計画に反映しております。断熱性や耐震性能も妥協せず最高の状態とし、
充実した温熱環境と安心感のある住宅になっています。
西町の家 松本市/2023年
木造 2階建て
延べ床面積:108.80㎡(32.91坪)
延べ床面積:108.80㎡(32.91坪)
*長期優良住宅
*耐震等級3(許容応力度計算)
*Ua値0.31(22.5cmの断熱材)
*断熱等級6
*HEAT20 G2仕様
*C値0.54
施工:株式会社滝澤工務店
写真:林 広明
写真:林 広明